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三間は興味の無い顔をする。それというのも、そういう類いのドラマを見ないからだ。
昼ドラと言えば女のドロドロした肉欲やら嫉妬やらが絡んだ陰湿なイメージがどうしてもある。警察署の休憩室でも昔は好きな奴が見ていて、一緒になって見させられたが辟易していた。
「現場にあった原稿用紙のコピーも、その亜久津って作家のか?」
「みたいですよ。こう…ドロドロした女のバトルを書いてた作家らしくって。でもそういうのが下火になってくると消えたみたいです」
「その作家は今どうしてる」
「死にましたよ、十年も前みたいです」
出てきた写真を見比べる。隠し撮りは数枚、死体の写真も数枚。特に女の方が酷い殺され方をしている。
もしこれが事実なら、辻崎による大量殺人と言うことになる。
だが、どうにも腑に落ちない。それはきっと、原稿用紙に書かれた言葉だろう。
「許してください!」「殺さないで下さい!」「もう無理です!」
まるで何かを強要されているような文面に見える。こんな事を書く奴は大抵が小心で、自分の意思を貫けない。
まぁ、反面キレると何をするか分からないタイプでもあるだろうが。
「…作家先生の方を調べるか」
三間はのんびりとそう言った。
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