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典孝君はその生い立ちから、自分に呪いの様な制約を掛けている。
ビリヤードのプロは収入が安定しない為、結婚なんかしても相手を幸せに出来ないと…
自分のお父さんがビリヤードのプロで、自分も家族も辛い目に遭ってきた…それを経験している為、自分にはそんな資格は無いと…
勿論、本人はそんな話しはしてくれないので、妹の京子ちゃんに聞いた話しだ。
そんな制約があったのでは、例え私から告白しても、典孝君のその優しさから断られてしまうだろう。
なので、典孝君の寵愛は、同じ境遇で育った妹の京子ちゃんに一身に向けられる。
勿論それは恋慕の情では無く、兄妹…家族としての愛なのだろうが、それでも私は京子ちゃんが羨ましく思ってしまう。
典孝君が京子ちゃんとじゃれあい、抱きしめるのを見る度に、胸の奥がチクチクと痛む。
京子ちゃんに嫉妬してしまう。
京子ちゃんが言うには、自分の店でも持ち、収入が安定しないと…との事だが、果たして何年掛かるのか…
私はそれまで待てるだろうか…この胸の痛みに耐えながら…
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