‐それぞれの想い‐

千尋の想い

　私には気になるコがいる。

　いや…好きな人と言っても良い。

　それは、1つ年下のバイト仲間…平野典孝君。

　先日行われたビリヤードのプロ試験を、史上最年少で合格してきたコだ。

　170㎝以上あるであろう身長も、スラリと伸びた手足も格好良く、イケメンの部類に入ると思う。

　その容姿で、スーツとベストと蝶ネクタイという、試合用のドレスコードでビシッっと決めた姿を見ると、乙女のようにドキドキしてしまう。

　性格はぶっきらぼうで、つっけんどんで、ちょっと怖いところもあるが、話してみると感情を隠すのが苦手らしく、素直で可愛いコだった。
　きっとポーカーは苦手だろう。
　その時の感情が全て表情に現れる。

　昔は不良みたいに暴れていたらしいが、それはその生い立ちから、妹である京子ちゃんやお母さんを守る為だったと、京子ちゃんから聞いた時に、優しいコなんだと理解もでき、私の想いも本物だと確信出来た。
　良く笑うし、良く怒るし、見ていて飽きないコだ。

　そのストレートな性格の為、私に好意を持ってくれている事も、自惚れでなく確信出来る。

　前述したが、私も好意を持っているので、結構露骨にアプローチしているのだが…