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少女が『少年』を捜すのは。
少女はいろんな少年に寄り添って来た。
そのたびに今度こそはと────思って落胆。
どの少年も『少年』ではなかった。誰も少女の捜し人にはなれなかった。
だけど、と少女は思う。
少女はどうしたいのだろう。どうなりたいのだろう。判断出来なかった。
少女は博士に兵士に施設の人間に、……それと少年に、殺された。
けれどならどうしたいのだろう。復讐、だろうか。
違う気がする。だったら何だろうか。
やさしくされたい? 昔みたいに。
悪い夢に目を覚ます自分を慰めてほしい? ……まさか。
今や少女自身が悪夢だと言うのに。
空白のひととき、少女は思う。
“私は何がしたいんだろう……”
そう少女が考えたとき、誰かが少女の手を掴んだ。
「……で、どうなるんだよ」
「え?」
「え、じゃなくて。どうするんだ? そんなホラーみたいな話、どうやって対処するんだよ。まさかお祈りでもするってか?」
「エクソシストを呼ぶとかですか? それは無理なんじゃ……」
「そうねぇ……」
「何だよ。何も考えてないのかよ」
「だってわかんないもの。そんな言うならあんたが罹ってよ」
「阿呆抜かせ。俺はとっくに少年期を終えてんだ。無理無理無理」
「そこなのよねー。発症者はみんな少年だから。……生存者も未だ無いし」
「心は少年、とか言ってましたよね?」
「心はな」
「馬鹿馬鹿しい。そんなの何の役にも、」
「────こちら救護班! 被験体『B-0ur0bor03』が─────」
「……どうして……?」
目を覚ました僕に、彼女が驚いた顔をした。僕はきょとんと首を傾げる。
「……。何が?」
「だってあなたは……!」
彼女は泣きそうな顔になった。僕は困る。
「ちょ、ど、どうしたのっ? 僕何か気に障ることした?」
焦って吃りながら僕は何とかかんとか彼女に問い掛ける。彼女は頻りに首を振り「違うの違うの」と繰り言を口にする。
僕は悩む。こんな彼女は初めてだ。
「違うの……どうして?」
「だから、何が?」
「どうして起きたの?」
恐る恐るそれだけ言って、彼女は唇を噛んだ。あと少ししたら泣いてしまいそうだ。
僕は眉を下げたのを自分で感じ精一杯脳みそをフル回転した。彼女を泣かせたくなくて。
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