第三章 別れのきっかけ

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二人で行ったパスタ屋さん。主人の同僚のオススメと言う事もあってお洒落で美味しい。「ウマいな!!!」「超美味しい!!!」文句無しの好みの味付けにも大満足の料理。「実は・・・同僚にさ、転勤前に想い出に残る、それでいてリラックス出来るような店を聴いたら、この店を教えてもらったんだ。」鼻の下を指でこすりながら照れた口調で主人が言った。こんな照れた主人を見たのは何時振りだろうか?「デートに行くのも凄く久しぶりだもんね。連れて来てくれてありがとう!」心からのお礼を面と向かって言ったのも久しぶりだった。「忙しくて中々、特別に出かけるのも無かったからさ、二人で過ごす何気ない時間が心地良くて当たり前すぎて感謝の気持ちを言う機会ってのも無かったし・・・たまには、な?」と付き合った頃の様な初々しい笑顔を見せられて涙腺から涙が溢れた。私もそうだった。感謝の気持ちを言う機会、作らなかった。「おい、食事くらいで泣くなよ~、な??」「ううん、ありがとう。ホントに嬉しいよ。感謝の気持ちを言う機会って家族間でも大事だよね、忘れてた。ありがとね。食事も嬉しかったけど、気付かせてくれて、ありがとう。」「いや、そんな喜ぶとも泣くとも想ってなくて、どうしたらいいか分からない(笑)」「ふふふ。何だか懐かしいよね、こういう雰囲気。」「ああ、そうだな。これからも何気ない時間も、特別な機会も大事に出来ると改めて想ったよ、サンキュ。来てよかった。」「うん・・・。」この初々しい雰囲気の時間は過ごしやすく懐かしく心地良かった。
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