第三章 別れのきっかけ

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小杉さんとの最後の日は刻々と近づいている。 携帯を握りしめ小杉さんの電話番号を見つめる日々が何日も続いた。 主人の転勤の日の前日、やっと私は覚悟を決め電話する前に一度小杉さんにメールを送った。「今、 してもいいですか・・・電話」 たった一言のメール。メールもこれが最後になるだろう。 小杉さんとの別れ、胸が張り裂けそうだった。 メールを送って5分ほどすると小杉さんからの返信。「はい、大丈夫です。」 携帯をぎゅっと握りしめる。 手に汗がにじむ。そしてカタカタ震える。 いよいよ・・・いよいよなんだ。とうとう別れの時が来た。 深呼吸3回、そして 初めての電話着信。 嫌な汗と不安な気持ちを抱えながら。トゥルル~♪ すぐに小杉さんは電話を取った。「はい、小杉です 」 電話越しに聴く小杉さんの声は、なんだか少し、いつもよりも余計に色っぽく感じた。
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