第三章 別れのきっかけ

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第三章 別れのきっかけ

「ただいま~」予告通り主人は予定時間に帰宅した。「おかえり~このまま直ぐ出かける?普段着で平気なところ行くの?」「おー。全然OK。用意できてるか?」「うん、大丈夫」家の中へ入る事も無く主人はスーツ姿のまま、私は普段着で出かけた。夜の道路を主人と二人でドライブも久しぶり。デートっぽくて昔が懐かしくなる。「なんか久しぶりだよね。」口を開くと主人も同じことを想っていたのか「夜のデートなんて何年ぶりだろ?」デート・・・夫婦でいると、その単語はあまり生活の中で出て来ないので新鮮だった。嬉しいようなむず痒い様な気持ちになる。「何処に食べに行くの?」気になっているのは‘話したいこと’であるが、言い出せない。「蕎麦屋に行きたかったんだけどさ、モーニングサービスに今週末に行こうと想って。今日はパスタでいいか?会社の同僚が教えてくれたパスタ屋なんだけど」お蕎麦屋・・・今週末、行くの・・・?小杉さんの顔を想いだして黙ってしまう。「聴いてるかー?おーい。」自分で質問しておきながら返事をするのを忘れていた。ダメだな・・・小杉さんの事となると。「今週末のモーニングサービスも楽しみだけど今日のパスタも楽しみだな♪お蕎麦屋でモーニングサービス、アナタは初めてだよね?」不自然ではないだろうか・・・?「そうそう。初めて。近所の蕎麦屋の事を同僚から聴いてきてさ。モーニングサービスの事とイケメン店長が居るって。イケメン店長は知っていたけどモーニングサービスのメニューとか全然知らなくてさ。モーニングサービスは俺もここにいる間に一回は行っておきたくて」・・・・・??「ここにいる間??」主人から気になる単語が出て来たので疑問に想い声に出てしまっていた。「あ・・うん、食べながらと想ったんだけど・・・後で詳しく話すけど転勤でさ。」「転勤??じゃぁ・・・引っ越すの??」「んー、まぁ、そうなるんだけど。続きは食事の時な、着いた着いた。」パスタ屋に到着して車から出たら夜の空気はヒヤッとしていて頭も冷えた気がした。だけど、言われたばかりの‘転勤’にグチャグチャして気持ちが落ち着かなかった。
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