さよなら、先輩

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「ありがとな」 真剣な眼差しの先輩がいた。 「ずっと見てたんです…っ。」 もう溢れ出る涙を止められなかった。 「友達とお喋りして笑ってる横顔も、汗だくになってサッカーに没頭してる後ろ姿も、ずっとずっと…っ。」 「そっか。気付いてやれなくてごめんな。」 そっと頭に置かれた手はゴツゴツしてるのに優しくて、 「ありがとう」 ニコッと笑う先輩はやっぱりかっこいい。 わたしの恋は成就しなかったのに、なぜかわたしも自然と笑顔になれた。 「わたしこそ、たくさんの幸せをありがとうございました」 わたしはペコリと頭を下げると、そのまま踵を返して駆け出した。
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