三度目の正直

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 「美味いよ、これ!佳乃ちゃん良い奥さんになるわー」  「で、高瀬が嫁に貰うの?」  保坂さんの突然の大胆発言に全員の手が止まる。  「市川に失礼だからな。そういう関係じゃないから」  咳払いして、高瀬さんがそう答える。  「じゃあさ、なんで一緒に住んでんの?」  「色々と事情があって」  「そうなの?佳乃ちゃん」  阿部さんに尋ねられ、こくこくと必死に頷く。これは退っ引きならない理由があってのことだ。  「でもさ、ある程度の好意がないと一緒に住むなんて出来ないよね」  「あー、はいはい」  面倒臭いとでも言いたげに、高瀬さんの適当な相槌が始まる。しかし阿部さんは追求を更に続けていく。
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