三度目の正直

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 「はい、三秒!おやすみ!」  阿部さんに押されるようにして自室に入る。ドアが閉まるかと思ったその直前、高瀬さんがドアを止めた。  「ストップ」  「じゃ、それが答えな」  嬉々として阿部さんが部屋を去っていく。  「おやすみ!」と少し離れたところから声がした後、ドアが閉じる音がした。  「やられた……」  珍しく疲弊した様子で高瀬さんがそう呟く。  「どうしたんですか?」  眠たい目を擦りながら尋ねれば、長い沈黙の後に返ってきたのは予想もしていなかった答えだった。  「今夜ここで寝ていい?」
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