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「床で寝るから安心して。市川も疲れただろうし、もう寝よう」
そのまま固いフローリングにごろりと寝そべる。掛けるものもないのに、どうやって一晩眠るつもりだろう。
意を決して、声が震えないように気をつけながら話しかけた。
「良いですよ、一緒に寝ても」
暗闇の中、高瀬さんの肩が驚きで震えたのをわたしは見逃さなかった。
「一週間の疲れもあるし、お酒も飲んでるし、ちゃんと休んだほうがいいですよ」
恥ずかしくて顔が熱くなる。心臓は走ったあとのようにバクバクと煩い。
こんなことを言ったら高瀬さんに嫌がられるだろうか。でも、でもと必死に言い訳を掻き集める。
「だからって……」
「あ、もちろん嫌ならいいんです」
だけど結局断られるのが怖くて、自らすぐに取り消した。
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