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「……じゃあ壁側向いて」
だけど今度はわたしが肩を震わせる番だった。
信じられなくて高瀬さんを見つめれば、その視線は逸らされることもなく。
言われた通りに横になると、後ろで静かに高瀬さんが布団に潜り込んできたのを感じた。
「狭くない?」
「だ、大丈夫です」
恐らく狭いのは高瀬さんのほうだ。シングルサイズのベッドに大の大人が二人なんて窮屈に決まっている。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
あまりの緊張で心臓に負担をかけるまえに寝てしまおうと強く瞼を閉じる。しかし全神経が高瀬さんに集中して上手くいかない。
規則的な呼吸。僅かに漏れる吐息。布団の中で伝わってくる体温。
高瀬さんが至近距離にいるのに眠れるわけがない。
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