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その時小さな笑い声に次いで優しい高瀬さんの声がした。
「緊張しすぎて身体に力が入るな」
「わたしもです」
つられて小さく笑うと、身体の強張りが少しだけ解けた気がした。
「一緒に寝てもいいとか、気軽に言うなよ」
「……気軽じゃないです」
「そうなの?」
「そうです。高瀬さんだから……です」
「随分な信頼だな」
「そりゃそうですよ。お風呂で鉢合わせても、間違って押し倒されても、高瀬さんなら大丈夫って信じてます」
「阿部の真似はやめろ」
高瀬さんが笑って、優しくわたしの頭を小突く。
そのあとに「大丈夫なわけないだろ」と聞こえた気がして「え?」と聞き返したが、高瀬さんは返事をしなかった。
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