三度目の正直

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 目が覚めて真っ先に夢か現実かと、記憶の最後を辿る。  だが飛び起きる前に自分を包む体温に気付き、昨夜のことが現実だったのだと安堵した。  それと同時になんであのタイミングで寝たのだろうと猛烈に悔やむ。唇が重なっただけで気持ち良くて、なんだか力が抜けてしまった。  起きていたら、続きがあったかもしれないのに。もしかしたら、高瀬さんの気持ちが分かったかもしれないのに。  待って。それより一緒に寝たことのほうが重大ではないだろうか。  何もなかったけれど、抱き締められて眠るなんて。いや、何もなかったわけではないか。  初めて名前を呼ばれて、キスをされて。  良い感じじゃない?それとも勘違い?ただ酔った勢いだろうか?ああ、考えることが山ほどある。  「百面相」  その声にパッと目を開ける。  至近距離でわたしを見つめる高瀬さんがいた。理解した途端に体温が急上昇していくのが分かる。  「真っ赤だな」  面白そうに笑って、わたしの頭を撫でる。  まるで犬にするように乱暴な手付きなのに、高瀬さんにこうされるとドキドキして心臓が鷲掴みにされたように苦しくなるから困る。
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