鬼胎を抱く日々

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 ウインナーと目玉焼きが乗ったフライパンを片手に高瀬さんが立っていた。  「顔色も良くなったな。もうすぐ朝飯できるから起きて準備しろよ」  やっと覚醒した頭が昨夜の出来事を早送りで再生し始める。  泊まらせてもらった挙句に朝食の準備までさせるとは、なんたる失態。  そもそも昨夜は高瀬さんがお風呂から上がる前に眠ってしまった。後悔と羞恥が次から次へと湧き上がる。  「百面相だな」  「見ないでください!」  高瀬さんをバシッと叩いて、勢い良く起き上がる。  「わたしも手伝いますから待っててください!」  そう言って、洗面所に急ぎ慌てて準備したものの、わたしがしたことと言えばインスタントのコーンスープにお湯を注いだくらいだった。  「なにも手伝えなくてすみません……」  「いつも作ってもらってるし気にすんなよ。律儀だな」  ハハッと笑って、高瀬さんがパンを頬張る。  朝陽を背に受けながら朝食を食べる高瀬さんをもう一度見られるなんて。  密かに底知れぬ幸福感を噛み締めながらも、素知らぬ顔でコーンスープを啜った。
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