三度目の正直

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 「もしもし?は?なに?」  休前日の夜のこと。  部屋着に着替えたばかりの高瀬さんのスマートフォンが鳴り、くだけた口調で話し始める。  「ふざけんなよお前ら」  笑いながらそう言って、天を仰ぐ。なんだか楽しそうだ。もしかしてご友人かな。  高瀬さんは今でも大学時代の友人と定期的に集まってはスポーツや旅行をしているらしく、たまに話を聞く。  「来て確かめろよ」と豪快に笑って、電話は終わった。  「市川、ごめん。今から友達が来るんだけど良い?」  危うくオーブンから取り出したばかりのスペアリブを落とすところだった。  「来る?ここに?」  「そう、ここに」  「え?今から?」  「そう、今から」  驚きのあまり声も出なかった。
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