三度目の正直

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 「わたし部屋に……」  「なんでだよ。紹介するから」  予想外の言葉に顔を上げる。  それは嬉しい。高瀬さんの友人がどんな人か知りたいし、あの砕けた口調の高瀬さんももう少し見たい。  しかし、どんな立場で挨拶をすればいいのか分からない。  やっぱり引っ越し祝いの名目で突然の宅飲みなんて、わたしがいない時にしてほしいのが正直なところだ。  「嫌だ!」  「近所迷惑」  わたしの口を片手で抑えて、高瀬さんが笑う。  「みんな優しくて面白いよ。そんなに緊張しなくていいから」  高瀬さんの友人なら良い人たちだろう。それは分かっているが、せめて心積もりをしたい。  「化粧直してきます」  「そのままでいいよ。可愛い」  可愛い。  何気なく放たれたその一言に胸が騒つく。  耳まで真っ赤になったくせに聞こえなかったふりをして、高瀬さんの横をすり抜けた。
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