三度目の正直

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 「待って待って、どういうこと?」  「大学出たばっかってことだよね?」  当然ながら騒つく三人に「乾杯してからでも良いだろ」と言って、高瀬さんが袋からビールを出していく。  テーブルには今夜の献立だったBBQ味のスペアリブやシーザーサラダ、カルボナーラ、先ほど作った枝豆のペペロンチーノ風が並び、その他に三人が買ってきた唐揚げや揚げ春巻きなどの惣菜も追加された。  「吉田の椅子ねーわ」  「空気椅子でいいじゃん」  「ふざけんなよ!」  友人と笑い合っている高瀬さんを盗み見る。大口を開けて笑う高瀬さんは、なんだか可愛くて愛しさが込み上げる。  「仕方ねーな。椅子持ってくる」  高瀬さんが自室から椅子を持ってきたが、背もたれはない。  「おいこれ寄りかかれねーじゃん!」  「文句言うなら空気椅子だぞ」  どうやら吉田さんはいじられ役なのか、空気椅子か背もたれなしの椅子かを迫られている。  「あ、わたしの椅子背もたれありますよ」  「借りていい?」  こくりと頷いて自室のドアを開ければ、高瀬さんが部屋からわたしが普段使っている椅子を持ってくる。
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