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「ねぇ、これ佳乃ちゃんが作ったの？」
「あ、そうです。BBQ味のスペアリブです。漬け込んでオーブンで焼いただけですけど、良かったらどうぞ」
スペアリブに興味津々だった保坂さんはその味に満足したようで「うわ、すげー美味い！」と齧り付いている。
「難解だな。ちょっと酒が回ってから話そう」
「そうだな。それが良い」
吉田さんたちも落ち着きを取り戻し、全員でビールを楽しみ始める。
それに倣ってわたしもビールを一口飲む。独特な苦味が苦手だったが、暑さのせいか緊張のせいかそれほど気にならない。
「大丈夫か？冷蔵庫に酎ハイあるよな」
「あ、大丈夫です。ちょっと美味しい…かも」
「へぇ、大人になったじゃん」
ニヤリと笑われて、恥ずかしくなって顔を背ける。
会社では垣間見ることすらできない意地悪な表情。それを彼の友人たちと同じように向けてくれることが嬉しい。
その様子をまじまじと見ていた吉田さんと阿部さんが「高瀬に女か……」と、なにやらしみじみと呟き合っていた。
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