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翌朝も会社をズル休みしたい気持ちもあったが、いつものように電車に乗り、人混みの中の虚しさに包まれながら、ひたすら会社へと歩いていた。とても仕事をする気分になれなかったが、忙しさは彼を忘れさせてくれそうで、いつものように会社に着き、またパソコンに向かっていた。昨日の事は無かった事にしようと決意し、平凡な一日も終わり、母から外で今夜は食べようとラインが着たのでOKして、行きつけのお寿司屋さんに入ったら、母はまだ来ていなかったが、予約席に座った。お店の自動ドアが開き、ママが来たと思ったら、あの彼が何故か突然入って来て、板さんに「すみません予約していなくて一人なんですが席ありますか。」と訊いたら「申し訳ありません。今夜は八時まで満席で。」との声が聞こえ、そのまま彼の視線はリサへと投げかけ「アレ、電車でお会いしてますよね。それに昨夜妹の家族とファミレスにいた時もいらっしゃいましたよね。今夜も会うなんて。不思議だな。」と声を掛けられ、妹だったんだとガクガクと力が抜けてきたが、気を取り直して「ご一緒しませんか。」と声を発してしまい、母が来ることも忘れ、彼に自己紹介され、勤務先を言われ、「そうでしたね。」とうっかり言ってしまい、彼が「エッ、ご存知でしたか。」と聞かれ、「いいえ、そうだったんですか。」と焦って言い直し、冷汗を拭きながらリサの自己紹介やら話が弾んでいたらママが、駆け込んで来て、「ごめんね。あら、リサったら、交際相手と一緒だなんて、もっとオシャレしてくれば良かったわ。初めまして、リサの母です。あーらイケメンだわ。」とか勝手にベラベラ喋り出し、二人は大笑いしながら、母親に勝手に付き合っているカップルにされ、三人で盛り上がりながら、昨夜の嫉妬は一体何だったんだろうと、頭が混乱しそうな幸せに包まれながらリサの恋は本格的に再スタートしようとしていた。今度はメラメラさせてみようかなと彼に熱い眼差しを投げかけた夜だった。
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