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「おい、酒だ」
「…………」
男の言葉に無言のまま皿を拭くマスター。市民権を持たぬアウトローどもに飲食は提供できない。もしそれをしたら罪を背負うことになる。
「そうか。俺達に出せる酒はねえか。だったらこいつと交換でどうだ?」
そう言うと男はホルダーから銃を抜き、その銃口をマスターに向けた。
「……どうぞ。お代は結構です」
マスターは震える手で酒が入ったボトルをカウンターに置いた。
マスター、それでいい。下手に逆らえば命は無いからな。今は耐えてくれ。ゴミ掃除なら、俺がしてやる。
もしかしたら、これが最後の酒となるかもしれんな。じっくり味わわせてもらうとしよう。
その時、背後でガタッと椅子を引く音がした。
次にカツカツと複数のブーツが鳴る音が近づいて来る。やがて音が止まると、バン!とカウンターに手が置かれた。
俺は三人のいかつい男どもに囲まれていた。
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