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三人は河川敷の沼を眺めながら、釣り堀の客が忘れていった椅子に腰かけて話した。
「冴島が誘拐したのが村瀬で、殺された女ってのはお前が河川敷でバラバラにした男の姉貴ってわけか」
まとめて聞くと和馬は頷いた。村瀬はぎゅっと膝を握っている。ひどく緊張していて、疲れているようだ。今の状況で、最も可哀想なのは振り回されている村瀬だろう。
「村瀬…」
初めて声をかけてみる。まだ不審そうにこちらを見返す。
「冴島から逃げた方がいい。あれは病気だ。」
「…言うね~」
和馬は笑う。
村瀬の目から不信感が消えていき、瀬谷をまっすぐ見ている。
「それに………冴島には逃げるチャンスを貰ったんだぞ。逃げたって、俺たちは追いかけない。」
「俺の味方なの?」
「…ちげーよ。同情しただけだ。」
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