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そのとき、村瀬の声じゃないのに背中から声が飛んできたようだった。
「だから、あのジジイを殺れないんだろ」
図星を突かれた勢いで瀬谷は椅子から立ち上がった。村瀬は不思議そうな顔をしている。
「新しいひと?」
そのとき、三田地ハルが瀬谷の肩に手をまわしてきた。さっきまでの緊張が消えたように村瀬は律儀に頭を下げていた。
「わたし、ハル。よろしく。他にも春はいるけど、あっちは“奈央子“って呼ばれてるから。私のことは“ハル“でいいわ」
細く長い指が村瀬の手に絡み付く。邪念を見抜くような鋭い視線が身体中を支配する。
「ふふ……………」
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