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瀬谷は由奈をじっと見ている。その光景を不思議そうに村瀬も見ていた。
「そっか、初対面だよね。ネットで話しただけでしょ」
和馬が少し気を利かせて割り出すと瀬谷がくぐもった声で「ああ」と言った。不思議なことに、言葉を交わさなくてもこの二人が対立している雰囲気がある。その雰囲気がここに生きて、呼吸をしている。
「初めまして。」
由奈から小さく頭を下げると瀬谷は無愛想に頷くだけだった。
「村瀬を置いて、どこに?」
瀬谷が聞くと由奈の目が光った。
「前に話したとおり」
「村瀬に言わないのか?」
「話したところで……」
由奈はちらりと村瀬の不安そうな顔を見た。
「なに?なんの話?」
和馬も知らない様子で身を乗り出す。
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