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音楽大学に通っている。
ギターを背中に担いでも、大学生というより路上ミュージシャンに間違えられる。この間なんか、中学時代の友達に遭遇して 「路上ライブやるの?」と聞かれたときは負け組として見られたような気がした。
社会に貢献できないこの人たちをみて、ホッとしていることが本音。優しいふりしてるわけじゃない。福祉活動にも尽力することは自分のモットーだ。
それがたとえ、自分より少し若い少年でも。
「少年!」
今日も沼を見つめる彼に声をかける。無愛想に振り向き、舌打ちが返ってくる。
「なんでいつも沼を見てるの?」
「別に、理由なんかないけど。」
乱暴なしゃべり方。言葉を捨てるような、相手に投げつけるような言い方が特徴的だ。
「名前で呼ばないのか?」
この間、“瀬谷“と呼ばれているところを目撃してから 警戒されている。
「……別に。少年でいいじゃん」
驚いたように彼は目を丸くしてこちらを見た。
「今の話し方、にてた?君って乱暴なしゃべり方するから、真似してみた」
そのとき、初めて彼は笑った。一瞬だったが、口角があがり 頬が緩む。
とても愛らしい笑顔の持ち主なのだ。
いつも難しい顔をしているのに、彼も子供であることを思い知らされた。
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