隠した刃

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明日もこの場所で君と話そう。 そう思わなければ、よかったのかもしれない。 ー翌朝。 夏の午前五時はすでに多湿な空気が都内を包んでいる。とくに河川敷の沼からは多くの湿気がこもっている。 毎朝習慣にしている散歩道をぬけて、気まぐれに立ち寄った河川敷。テントは大人しく、沼にも誰もいない。 おおきく欠伸をしながら歩いていくと、ホームレス街の奥までつづく沼の先が見えた。 白い布が浮かんでいるー。 落とし物かな。 目を細めて、もう一度確かめたとき 白髪混じりの頭髪のなかから見えた鷲鼻と見慣れた体つきに 咄嗟に悲鳴をあげた。 人が浮かんでいる。 ホームレスの山辺のじいちゃんが、浮かんでいる…
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