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朝食が終わって部屋に戻ると、私のメッセージは既読にはなったが、薫からの返信はなかった。
朝の出勤前で忙しいのは百も承知。
もしも私が薫の立場でも返信をするか、しないかわからない。
ただ、私の中では妙に落ち着かず、返信を待たずに次のメッセージを送信していた。
『会社、遅れないでよ? やっと金曜。お互い、今日一日頑張ろー』
しかし、これにも返信があるわけではなく、もやもやした気持ちが増しただけだったが、緒方さんとの約束の時間になったので、そちらを気にしているわけにもいかなくなった。
「気にしすぎよね……」
ドレッサーの前で服装を整えながら鏡の中の自分に問いかける。
「行ってきます!」
一人暮らしの習慣で、自分を奮い立たせる毎朝の掛け声は、邪心を振り払うべくいつもより大きく部屋に響いた。
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