季節外れの嵐ー2

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しかし、私と緒方さんの予想は外れ、 天候は最悪だったのにも関わらず、午後になって客足が増した。 それというのも、午前中のうちに会場入りした客が徐々に酷くなる雨風を少しの間しのごうと、この会場で雨宿りをしていたからだ。 嬉しいのが反面、早く切り上げて帰ることがままならず、結局閉会時間いっぱいまで私たちは対応に追われていた。 おかげで、こちらは予想通り…… 「……全面運休だとよ」 覗き込んでいたスマホから顔を上げ、緒方さんは大きく首をもたげる仕草をした。 「ですよね……この天気じゃ」 扉の外はすぐそこのタクシーに乗り込む間にもずぶ濡れになりそうで、電車の運行会社の決定事項になんら不服はなかった。
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