季節外れの嵐ー2

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幸いにも前日以前より宿泊していたのでそのまま延泊することができ、嵐の夜に宿に困ることはなさそうだった。 緒方さんはホテルに連絡を入れ、続けて会社にも連絡を入れると展示会の報告と、台風の影響を説明した。 会社としては思わぬ出費には違いないが、明日が土曜日なので当事者の私は思いのほか気は軽かった。 緒方さんはその後、当然奥さんに連絡を入れるだろう。 私の方は……特段そんな相手はいない。 唯一、今夜お土産を持参するはずだった佐久間くんの顔が浮かんだが、そもそも佐久間くんは私のそんな予定など知らないし、 私たちは……そんな連絡を取り合う仲でもない。 緒方さんが各所へ連絡をしている間に手持無沙汰になった私は薫にだけメールで連絡を入れた。 酷い天候であること、電車が運休になってもう一泊することになったことを伝えた。 朝の返信は相変わらず届いていないが、今日こそ部屋に戻ったら電話をしようと思っていたのでその時は返信を待たずにスマホを仕舞った。
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