プロローグ

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私が彼を「マスター」と呼ばないのは 彼があまりにも若く、 そう呼ぶのに少なからず抵抗があったからだ。 最初にこの店に訪れたのが去年の秋。 その時、別の客が彼に年齢を聞いていたのを たまたま聞いてしまった。 実際には私も気になっていたのだが、 明らかな年下男子に自分から年齢を聞くことはないだろう。 その後に自分の年齢を聞き返されることを思うと、 聞くに聞けない。 まあ…… こうして半年かけてここに通ってみると、 当時、私から彼に年齢を聞いたところで、 彼は私に、私の年齢を聞き返すことなどしなかっただろうと、 今ならわかるけれど。
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