プロローグ

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去年彼は26歳だと話していた。 若いだろうとは思っていたが、実際に年齢を数字で聞くと、 なぜだかショックを受けたのを鮮明に覚えている。 若く見える……同年代ではなかったということだ。 若くして店を経営する彼の姿は尊敬にも値するが、 単純に羨ましくもあった。 どんな世界でも若くして成功を収めている人は少なくない。 何にでもチャレンジできるし、チャレンジするパワーだってある。 それが歳を重ねるごとに、そんなチャンスも、勇気さえ減少する。 あぁ……羨ましい。 「若いって、すごいよねぇ」 私は頬杖をつきながら佐久間くんの顔を見上げた。 「どうしたんですか、いったい」 彼は私の視線を静かに受け止めながら言った。
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