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気持ち悪い? そうなのか? ショックを受けつつ、なんとか続ける。
「その、セックスしたいという気持ちはわかる。俺も男だからな。でも、一人を愛するよう努力するのが、日本男児のあるべき姿……」
「それは間違ってるな」
いきなり口を挟まれ、俺は「は?」と言った。
「封建時代、武将は当然のように愛人を囲ってた。なんでかわかるか?」
封建時代? なんか聞いたことあるような。俺が首をかしげていたら、久我が馬鹿にしたように言った。
「大政奉還以前のことだ」
ああ、時代劇とかのことね。なんだよ。ちょっと頭がいいからって威張りやがって。
「それは、あとつぎとかのためだろ」
「ああ。それと力を誇示するためだ。大奥は知ってるよな」
「ドラマとかでやってた?」
「そう。──大体、おまえが言う「日本男児」はいつの時代の話だ? 封建時代なら見当違いだし、戦時中なら個より集の時代だ。現代なら男尊女卑だと叩かれる用語だぞ」
「な、う」
俺はよくわからない反論に目を白黒させた。こいつはむずかしいことを言ってごまかしているのだ。そうに違いない。
「好きな女としかセックスしちゃいけないなら、見合い結婚した夫婦は? 女にもてなくて風俗に行く男はどうなる?」
「う、う」
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