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「実は、エスリアール城に滞在中のある晩、アーヤがふと就寝前に、しばらく見ない雨が見たくなったそうだ。
そこで、アーヤの世界に伝わる子供が遊びでするような翌日の晴天を祈る呪いをわざと雨が降るように試した。
聞いた限りある種の雨乞いとも言える行為だが、試した本人は童心に返りただの気休め、遊びの延長だったようだがその夜……。」
「降ったんだな雨が。」
「本当に、その夜から翌朝にかけてかなりの雨が降り注いだ。おそらく局地的に。
そして、驚くべきはもうひとつ。呪い人形が、作った張本人の知り得ぬところで衰弱しきった水獣を引き寄せ、自分という依り代に憑依させ救済していた。てるてる坊主という人形らしい。
そのてるてる坊主を作ったアーヤに水獣は命の恩を感じ、使い魔契約を持ちかけ、アーヤはそれを受けた。」
「はぁ…、水獣といっても様々だが、アーヤのことだ。どうせ普通は見かけないような類いのやつなんだろう?」
「まあ、そうだな。契約したのは聖獣青龍の眷族水獣、タツノオトシネコで白い種だったんだ。」
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