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「じゃあ、異世界にスマホ持っていきたいです。家族に連絡したいし、もし今後も帰れないとしても、神隠しみたいに蒸発したままじゃ嫌です。できますか?」
理解。スマホは充電いらずにできるよ。
整理すると、異世界は剣と魔法がある世界、あそこがいい。
身分、職業は色々だけど魔法はバッチリ使えるからギルド経由での生活の心配ないよ。
あとは、言語チートとスマホね。
異世界人は綾子以外、滅多にいないだろうけど、伝説や文献とかでありがたい保護するべき存在として伝承されている国ばかりだから迫害なんてまず心配ない。
一つ一つ確認していくが、いまいち実感に乏しい。
「他に質問は?大丈夫?」
太郎の姿で神様は優しく綾子の側で上目使いに聞いてくる。
「はい、だいたい大丈夫なんですがの…。」
なーに?遠慮せずにこの際何でもいいなよ?コテンと首をさせて、太郎が聞き耳立てているのと同じ仕草をする。
くっ///、かわいい。太郎じゃないけど見た目は太郎のまんまだし…言っちゃえ!
「抱っこを…座ったままでもいいので最後に
くっついてもいいでしょうか?
いいよ。
にこりと太郎が笑う顔と同じ表情で返事をして くれた。
「…温かい。太郎と同じ匂い。」
綾子は太郎に模した神様と思いながらも、本物の太郎と同じような姿、形、仕草にじーんとする。
正面から横に移動してパピヨンの象徴とも言える蝶のようなシルエットの耳下辺りにある長く柔らかい絹糸のような真っ黒の毛に顔を埋めてぎゅっと抱きつく。
しばらく前の夢の戯れとは違ってじっとしている太郎に触れ、懐かしいぬくもりに胸は少し苦しくて瞼はじわりと熱くなる。
これからのことから逃げない為に太郎を抱き勇気と決意もその胸に刻んだのであった。
(太郎…太郎…また私の背中を押してね)
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