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ファサファサ…ファサファサ…ファサ。
抱きついてる太郎(神様)の長いしっぽは、優雅な白い羽のような軽やかさで静かに揺れ続けている。
離れがたいがゆっくり腕をゆるめ、正面からぼやける視界でアーモンド型の瞳を見つめると、じゃれるように鼻先で綾子の頬がツンとスタンプされた。潤って健康な鼻はひんやりと冷たい。
思わず伸ばした右手に柔らかい頬がスリスリと撫でてと催促され、それに応えれば気持ちよさそうにアーモンドの瞳は細められた。
ファサファサ…ファサファサ…ファサ。
まるで本物の太郎なのでは?と思ってしまいそうになるが、私の記憶する太郎にいつまでもすがるわけにはいかないと、自分の両頬をパチンと挟んで気合いを入れる。
仕事モードに近いキリッとした表情になった綾子を再びアーモンドの瞳が見上げる。綾子の気持ちを察し、神様が最後の仕上げとして語り出す。
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