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さあ、旅立ちに必要な一式は揃えてある。
容姿は変ないから珍しい容姿を目立たせず、隠せるフードつきローブ、服と靴に荷物を入れるショルダーバッグ、スマホとか色々細かいのはその魔法バックに入れてある。
取りたい物を思い浮かべて出してね。
異空間に来ちゃた位だからやっぱり空間魔法は使えるみたいだけど珍しいから使う場所と知られる相手に気をつけて。
他の魔法は相性によるからあっちで専門の魔法師に教わってね。
いつの間にかルームウエアーからファンタジ
ーな旅人風の魔導師みたいな格好になっていた。
「何から何までありがとうございました。」
いいよ、お礼なんて。悪いのは巻き込んだこちらなんだから。詳しく事情を話せなくてごめんね。
「いえいえ。」
心の準備はいいかい?
「…はい」
頷き真っ直ぐに太郎の視線を受け止める。
潔い綾子に心からの祝福を。君は今までも気づいていないけど、出会いがなかったわけじゃない。きっと、これまで以上に素敵な出会いがあるよ。大丈夫。私も太郎もいつだって味方だから…。
綾子の足元から頭のてっぺんまでまばゆい光が包み込み、お互いの姿が霞んでいく。
やがて異空間には神……だけではなく、もうひとつ小さな影が。
太郎は、魂だけだった霊体に生前の体を与えられた。
互いを思い合う気持ちを理解した神が刹那的な交流を叶えたのだった。
太郎、安心していいよ。君の家族はきっと誰もが元気にやっていける。
君が気づいてもらえなくとも、側にいて守っていたお陰で綾子は転移できた。あの守護がなければ困ったことになっていたよ。
ありがとう。
太郎は行けるね?元の在処へ
ワン!・・・・・・・・スウッ・・・・
やがて太郎も消え、異空間には沈黙が残された。
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