1人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
マキと涼夏は、水上に連れられて署内の会議室に案内された。
しばらくして、水上が10センチほどの厚みのある冊子を持って戻って、マキの前に冊子を差し出した。
水上「ほらよ、これが今時点の報告書だ。」
マキ「おう、サンキュ。」
マキは早速、事件の発生時の確認をした。
事件が発覚したのは9月20日、場所は的場町2丁目にあるアパート『青風荘』の前で起こった。
午前2時頃、新聞配達員の男性(47才)が、アパート内の玄関に向かう途中、入口の段差に座り込んでいる太田を見かけた。
深夜という時間帯もあり、配達員は男性に声を掛け、肩に触れたところ、太田はそのまま倒れこんでしまった。
配達員はすぐに救急に連絡し、救急センターから警察の出動要請が入った。
救急が到着した時点で、太田の意識と心拍に反応は無く、搬送先の病院で死亡が確認された。
死因は鋭利な刃物によって腹部を刺されたことによる失血死。
死亡推定時刻は22時から23時であることが確認された。
涼夏「なんか、随分放置されてたんだね。」
水上「どうやら周囲の人間は、酔っ払いが座り込んでたと思っていたらしい。被害者からもアルコールが検知されたし、まあ仕方ないわな。」
尚、死体発見場所から大量の血液が流れていたことから、犯行現場も同じ場所と考えられる。
マキ「それで、犯人の目星はついたの?」
水上は、大きなため息を一つ吐いた。
水上「周辺の民家を一通り聞き込んだんだけど、目撃情報が一致してる人間がいる。」
涼夏「へ!それってもしかして・・・・」
水上「犯人は全身黒づくめの男だそうだ。」
マキ「男・・・・」
水上「ああ、犯行時刻の時間に不審な男を見たっていう目撃が相次いでな、こっちもその男の行方を調べてる。」
涼夏「なあんだ、違うか・・・・」
水上「何が違うんだよ?そっちは?何か情報ないのか?」
マキは水上を見て、口を開こうとしたが、思いとどまり、目を伏せてしまった。
水上「何だよ、何か知ってるっていう顔してるな。」
涼夏「なんか、近所に住んでる長田すみれさんが怪しいらしいですよ。」
マキは目を見開き、涼夏を睨みつけた。
マキ「だからさあ、なんでそうベラベラと・・・・」
水上「ああ、あの女か・・・・」
マキ「そっか、確か奥さんも警察に言ったって・・・」
最初のコメントを投稿しよう!