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水上「だから、お宅に『ご相談しに来た方』から、どうしても調べてほしい、って言われたんだよ。」
マキ「それで?」
水上「俺の刑事の勘によると・・・シロだな。」
マキ「ということは、果てしなく怪しい・・・・」
涼夏「調べてみた方がいいね。」
水上「おい!俺の勘で反感買うなよ!」
マキ「それで?名刑事さんの勘は何でシロなのよ?」
水上「犯人とおぼしき人物と、長田すみれの容姿が一致しない、一応、長田にも話を聞くために会ったが、目撃者との特徴が違う。」
涼夏「全身黒づくめだったんでしょ?そんなのわかんないじゃん。」
水上「そもそも、長田には太田を殺す動機が無い。」
涼夏「太田の退職金の件は?」
水上「そんなのたかが知れてるだろ、そもそも太田殺したところで、金は妻である利恵が受け取る権利があるんだから、意味が無い。」
マキ「そりゃそうだ・・・・・」
水上「残念ながら、報酬金は受け取れそうにないな。」
マキ「ねえ、どんな感じだった?」
水上「何が?」
マキ「長田すみれさん、雰囲気とか。」
水上「まあ、どこか過去を引きずってるような、暗い感じの女だったな。」
涼夏「陰湿な感じの?」
水上「いや、むしろ必要以上に人と関わらない、サバサバした印象だな。」
マキ「人と関わらない、雰囲気ね・・・」
水上「長田は小学生になった二人の子供と三人暮らし、旦那は随分前に蒸発したらしい。」
涼夏「色々あったんだね・・・・」
水上「まあ、そういう複雑な環境も、印象の起因になってるのかもな、今は工場のパートをしながら、的場町の古いアパートに住んでるよ。」
マキ「わかった、教えてくれてありがとね。」
水上「このことは、他の誰にも言うなよ!」
マキ「へいへい。」
マキと涼夏は立ち上がって、会議室の出口へと向かった。
水上「それと、この事件の捜査はまだ続いてる。変に首突っ込んで、うちの邪魔すんじゃねえぞ!」
涼夏「謝謝!!」
涼夏は両手を合わせて、水上にお辞儀をした。
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