1人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
居間の空間には二階までふき抜けになっていて、
面積の広い壁際には様々な物が飾られていた。
金色の縁に飾られた絵画
大きな青枠の掛け時計
名所の風景が写っているカレンダー
その壁の床元には、大きな液晶のテレビが置かれていて、テレビのスタンドには近藤の家族が写っている、青の写真立てが飾られていた。
マキ「・・・・・・」
近藤の家を後にしたマキと涼夏は、同じく目撃証言をした向井という人物を訪ねることにした。
事件現場の清風荘から歩いて3分、表通りの商店街の中に『向井精肉店』がある。
ガラス戸の入口を開けると、冷気に包まれた店内には豊富な種類の精肉がショーケースに並んでいる。
その、ガラスのショーケースに、涼夏が両手を付いて見つめていた。
涼夏「サーロイン、サーロイン・・・・」
その横で、マキは店主である向井良一(むかい りょういち)と話をしていた。
マキ「・・・・つまり、あなたが不審者を見たのは、事件当日の22時頃ということですね?」
向井「そうだよ、間違いない。」
マキ「背格好は?」
向井「警察にも話したけど、全身真っ黒の男だったよ。」
マキ「どうして男だってわかったんですか?」
向井「どうしてって・・・・体格もよかったし、背も高かったし、ぱっと見で男だと思ったんだよ。」
涼夏「リブロース、リブロース・・・・」
向井「ちょっと・・・・その子どけてくれない?商売の邪魔だから・・・」
マキ「ああ・・・ほれ涼夏!」
マキは涼夏の襟を掴んで待ち上げた。
涼夏「ニャアー・・・ところで向井さん、その男はどこ見たんですか?」
向井「え?どこって・・・・この店の中だよ。」
マキ「店内ですか、22時頃に?」
向井「だから、さっきも言ったじゃ・・・」
涼夏「このお店は何時に締まるんです?」
向井「え?21時までだよ・・・・」
涼夏「21時閉店で、22時にこのお店で目撃したと、」
向井「そうだよ。」
マキ「閉店から22時まで何をしてたんですか?」
向井「何って・・・片付けしてたんだよ・・・」
マキ「片付け、なるほど。」
涼夏「その時に、お店の外のあの辺りで・・・」
涼夏が外に向かって指差すと、そのままガラス戸の前に立ち、水滴の付いたガラスに、両手を上げたチープな人の絵を指で書き始めた。
涼夏「こんな感じで?」
向井「もうちょっと、左だったかな・・・・」
最初のコメントを投稿しよう!