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玲奈「そんなに目撃証言が一致しているなら、男は確かにいたのかもね・・・肉。」
涼夏「へい。」
マキ「でも、目撃証言で気になる点があるんだよねー・・・」
玲奈「例えば?」
マキ「主婦の、横田と近藤の証言で、容疑者が通りかかったとき、二人共、咳払いをして男とわかったとか、肉。」
涼夏「へい。」
玲奈「二人共?なるほど、確かに偶然にしちゃ出来すぎだ・・・・肉。」
涼夏「へい。」
マキ「それに、肉屋の向井の目撃証言も。」
玲奈「何かおかしかったの?」
マキ「ま、追々ね・・・それと、近藤の、長田に対する印象・・・」
玲奈「最悪だったんだっけ?」
マキ「近藤は、長田は誰かといたところを、見たことが無いって言ってた、肉。」
涼夏「へい。」
玲奈「それが?」
マキ「秀治の奥さんは、町内会の集まりで、長田と秀治が密接していたのを目撃してる。」
玲奈「その光景を、他の人達が見逃しているわけが無いと・・・」
マキ「まして、他人と交流が無い長田が密接してれば、なおさら目立つよね。」
玲奈「で、どうするの?」
マキ「玲奈、ちょっと調べてもらいたいことがあるんだ。秀治の夫婦関係と、目撃者の戸籍について。」
玲奈「戸籍?何で?」
マキ「ちょっとね、気になることがあって。」
玲奈「わかった、すき焼き、ゴチです。」
マキ「私は明日、涼夏と長田すみれの家に行って来る。」
涼夏「お、いよいよだね!」
マキ「そ、あんたも明日に備えて、ちゃんとご飯食べときなよ!」
玲奈「じゃあ私、早速調べてくるね!」
マキ「よろしく、私もちょっと出かけてくる。」
マキと玲奈は、二人並んで事務所を後にした。
涼夏「じゃあ、私はすき焼きを・・・あれ?無い・・・」
鍋の中には野菜、しらたき、焼き豆腐が入っている。涼夏は肉を隅々まで探したが、一向に見当たらない。
涼夏「しょうがない、新しいのを入れ・・・無い。」
涼夏は精肉店の袋を覗いたが、肉は一片も残っていなかった。
涼夏「これは・・・もはや、すき焼きではなく、野菜煮込み鍋・・・・なあんてヘルシーなんだろ・・・・・」
涼夏は箸で鍋をかき回し、次第にスピードが速くなっていった。
涼夏「おい!肉、肉何処だよ!チッキショー!」
涼夏はかき回すのをやめて、ゆっくりと箸を置いた。
涼夏「しょうがない、『ユニオン』行って買ってくるか、領収書もらっとこ。」
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