青の街

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※この物語はフィクションです。実際に存在する店舗、施設は物語とは関係ありません。 季節は10月だというのに、照りつけるような日射と、その日差しを受けて吹きつける風は蒸し暑ささえ感じた。 横浜駅から程近い大通り、様々な作業車が路肩に停車し、運転手は車内で昼の休憩を取っている。 その一台の中に、古ぼけた車が止まっていた。 車はホンダN360(黒) 車内には二人の女が座っている。 助手席にいる女はパーマのかかったショートヘア、年齢は35歳、名前はマキ。 運転席の女は、黒髪のロングを、後ろに束ねた21歳、名前は涼夏(りょうか)。 車の横は建物が並び、マキはその中にあるラブホテルの入口に釘付けになっていた。 涼夏はシートを倒し、ひたすら天井を見つめている。   車のラジオからFMの交通情報の音楽が流れる、時刻は12時をとうに越していた。 涼夏「ねえ、もう昼だよ・・・」 マキ「・・・・・」 涼夏「腹減った・・・・」 マキ「・・・・・」 マキはひたすら、ホテルの入口を見つめている。 涼夏「『本丸亭』の塩ラーメン食べたい。」 マキ「まだだよ。」 涼夏「『角平』のつけ天食べたい。」 マキ「男がまだ出てきてないでしょ?」 涼夏「『センターグリル』の浜ランチ食べたい・・・・」 マキ「出てくる写真取ったら、報酬もらえるから、そしたらあんたも・・・・浜ランチ?」 涼夏はシートを起こし、マキを見つめ大きく頷いた。 マキ「・・・・・カリカリのチキンカツ。」 涼夏「ふわっふわのオムライス!」 マキ「特製ソース・・・」 涼夏「¥200アップでチキンライス!」 マキ「・・・・変えちゃう?」 涼夏「変えちゃう、変えちゃう!」 マキ「・・・・・行くか。」 涼夏「イエーッス!!」 涼夏は即座にシートベルトをセットし、エンジンをかけ始めた。 マキ「ったく、せっかくのチャンスだったのに・・・」 涼夏「腹が減っては、戦はできネ、チャンスだけに、またのご機会に・・・・」 エンジン音が唸りを上げ、涼夏は窓越しで車をけん制し、ハンドルをめいっぱい回した。 車は家々が密集した山間を走り抜け、やがて帷子川を渡り、横浜駅のはずれを通り過ぎていく。 桜木町の飲み屋街、野毛。この街の端に洋食屋の『センターグリル』は営業している。 扉を開けて、右側に二階に続く階段があり、上に上がると、目の前にはキッチンを兼ねた会計場所がある。
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