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利恵「あの人、前に調子に乗って、長田さんに退職金の話をしたみたいなんですよ、何でそんなこと話したんだか・・・」
涼夏「でも、旦那さんを殺したら、退職金も横取りできませんよね?」
利恵「夫は、初めから長田さんに退職金を渡すつもりなんて無かったんです。」
マキ「それで、逆上して、旦那さんを殺したと・・・」
利恵「動機は、バッチリですよね?」
マキは深くため息をして、利恵を見つめた。
マキ「その話、警察にもお話ししたんですよね?」
利恵「しました、けど、結果的に可能性は低いと言われて・・・・」
涼夏「何でですか?」
利恵「長田さん、アリバイがあったんです、事件あった時間、目撃者が何人もいました。」
涼夏「そっか、それじゃあシロだな。」
利恵「でも、何かトリックを使って夫に殺したに違いありません。お願いです、調査してくれませんか・・・」
マキは唸り声を一つ上げ、口を開いた。
マキ「わかりました、ただし、いくつか条件があります。」
利恵「はい、なんでしょうか?」
マキ「まず、調査費用ですけど、通常の浮気調査と違って、いくつもの情報機関を使って調査する必要があります。この場合、費用も通常よりも掛かる事になるので、ご了承ください。」
利恵「はい、覚悟はできています、お金も用意しました。主人の退職金から・・・・」
マキ「もう一つ、私達は、太田さんの話を聞いた上で調査をします。つまり、長田さんが容疑者という前提で、」
利恵「はい、それはもう、」
マキ「しかし、事件の真相を探るうちに、太田さんの希望に添えない結果になる可能性もあります。」
利恵「と、言いますと?」
マキ「例えば、真犯人は別の人物であったり、そもそも警察の捜査通り、通り魔の犯行の可能性も・・・」
利恵「そう・・ですよね・・・・」
マキ「なんなら、警察が先に容疑者を捕まえるかもしれない。その場合でも、ご了承はいただけますね?」
利恵「結構です、真相がわかれば。」
マキ「ならば、お引き受けしましょう、調査費用として、前払い20万を頂きます。」
利恵「わかりました。」
利恵はバッグから封筒を取り出し、20万円をテーブルに差し出した。
涼夏はつかさず札束を奪い取り、満面の笑みで数え始めた。
マキ「もう、品が無いな・・・」
利恵「あの・・・大丈夫ですか?」
マキ「行けるとこまで、行ってみます。」
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