青の街

8/31

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
翌日、マキと涼夏は山下警察署に出向いた。 マキは入口に入るなり、目の前のカウンターにいる警察官に声を掛けた。 マキ「ごめんなさい、ちょっといいかな?」 「はい、なんでしょうか?」 マキ「ここの防犯課に、水上(みずかみ)っていう刑事がいるはずなんだけど、いや、どっかに飛ばされてなけりゃね、呼んできてもらえる?」 「・・・・ちょっと待っててください。」 警察官は眉間を歪ませて、奥へと消えて行った。 涼夏は落ち着かない様子で辺りを見渡している。 涼夏「マキさん、何で水上に会うの?」 マキ「うん、太田さんの事件を詳しく聞いてみようと思ってね。」 涼夏「まじめ!・・・直接、長田さんっていう人と会ったほうが早くない?」 マキ「もちろん会うよ。でも、その前に下ごしらえしなきゃ、相手の矛盾とか見落とすかもしれないでしょ?」 涼夏「なるほど・・・・」 涼夏は相変わらず署内を見渡している。 マキ「・・・・どうしたの?」 涼夏「・・・・ん?」 マキ「何でそんなにソワソワしてるの?」 涼夏「いや、こういうとこ、落ち着かなくて・・・」 マキ「ああ、色々お世話になってそうだからね。」 涼夏「ちょっと!どういうい・・・」 水上「なんだ!何の用だ?」 マキが頭だけ後ろを振りかえると、スーツ姿の男が腕を組んで仁王立ちしていた。 マキ「・・・・うっす。」 マキは軽く頭を下げた。 水上はマキの挨拶には反応せず、睨みながら二人を見渡した。 水上「マキ、俺は忙しいんだよ、お前と違ってな!わざわざ呼ぶんじゃねえよ!」 マキ「でけえ声出すなよ・・・・ちっせえ体してるくせに声はいっちょ前だな。」 水上「おい・・・お前だって俺と同じ、小せえ体してんじゃねえか!そんなこと言うために俺を呼んだのか?あ?」 水上は目を見開き、マキに睨みをきかせた。 ・・・うぜえなあ。 マキは思わず顔を逸らした。 水上「ああ?おい。」 水上は今度、涼夏の方を向き始めた。 涼夏「・・・・こっち見んなよ・・・」 水上「んだあ?その言い草は!」 マキ「実はね、一ヶ月前、的場町で起きた事件について、ちょっと聞きたいなあと思って。」 水上「的場町の?なんでだよ?」 マキ「いや、ちょっと個人的に興味があってさ・・・」 涼夏「この事件の被害者家族が、うちに来たの、警察は当てにならないから調べてほしいって。」 マキ「こっ、バカッ!」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加