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翌日、マキと涼夏は山下警察署に出向いた。
マキは入口に入るなり、目の前のカウンターにいる警察官に声を掛けた。
マキ「ごめんなさい、ちょっといいかな?」
「はい、なんでしょうか?」
マキ「ここの防犯課に、水上(みずかみ)っていう刑事がいるはずなんだけど、いや、どっかに飛ばされてなけりゃね、呼んできてもらえる?」
「・・・・ちょっと待っててください。」
警察官は眉間を歪ませて、奥へと消えて行った。
涼夏は落ち着かない様子で辺りを見渡している。
涼夏「マキさん、何で水上に会うの?」
マキ「うん、太田さんの事件を詳しく聞いてみようと思ってね。」
涼夏「まじめ!・・・直接、長田さんっていう人と会ったほうが早くない?」
マキ「もちろん会うよ。でも、その前に下ごしらえしなきゃ、相手の矛盾とか見落とすかもしれないでしょ?」
涼夏「なるほど・・・・」
涼夏は相変わらず署内を見渡している。
マキ「・・・・どうしたの?」
涼夏「・・・・ん?」
マキ「何でそんなにソワソワしてるの?」
涼夏「いや、こういうとこ、落ち着かなくて・・・」
マキ「ああ、色々お世話になってそうだからね。」
涼夏「ちょっと!どういうい・・・」
水上「なんだ!何の用だ?」
マキが頭だけ後ろを振りかえると、スーツ姿の男が腕を組んで仁王立ちしていた。
マキ「・・・・うっす。」
マキは軽く頭を下げた。
水上はマキの挨拶には反応せず、睨みながら二人を見渡した。
水上「マキ、俺は忙しいんだよ、お前と違ってな!わざわざ呼ぶんじゃねえよ!」
マキ「でけえ声出すなよ・・・・ちっせえ体してるくせに声はいっちょ前だな。」
水上「おい・・・お前だって俺と同じ、小せえ体してんじゃねえか!そんなこと言うために俺を呼んだのか?あ?」
水上は目を見開き、マキに睨みをきかせた。
・・・うぜえなあ。
マキは思わず顔を逸らした。
水上「ああ?おい。」
水上は今度、涼夏の方を向き始めた。
涼夏「・・・・こっち見んなよ・・・」
水上「んだあ?その言い草は!」
マキ「実はね、一ヶ月前、的場町で起きた事件について、ちょっと聞きたいなあと思って。」
水上「的場町の?なんでだよ?」
マキ「いや、ちょっと個人的に興味があってさ・・・」
涼夏「この事件の被害者家族が、うちに来たの、警察は当てにならないから調べてほしいって。」
マキ「こっ、バカッ!」
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