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水上「ああ、そういうこと・・・」
水上の口元が緩み、笑みを浮かべた。
マキ「いや、何かちょっとね・・・物申したいことがあるらしくて、うちにご相談にね・・・」
水上「なるほど、あるよね、ご相談。」
涼夏は笑顔で首を縦に振った。
水上「それで、ご相談受けたから、クレーム先を調査しようと。」
涼夏「だな。」
水上「どうせなら、昔からの腐れ縁で繋がっている水上さんに聞いてみようと。」
涼夏「だな。」
水上「あいつなら、何でも教えてくれるし、内部の秘密情報も教えてくれると、そーゆうことか?」
涼夏「違うの?」
水上「教えるワケねえだろ!バカ!とっとと帰れ!」
水上の表情は一変し、二人を手で払い除けた。
マキ「まあまあ、水上さあん・・・」
マキは苦笑いをしながら、水上の肩に手を回した。
マキ「この前の、七福町のガサ入れ、教えたの誰だっけ?」
水上「お前!あれは慈善活動の一環って言ったじゃ・・・・」
マキ「何か、聞いたとこによると、かなり表彰されたとか?」
涼夏「いいなあー、私人生で表彰されたことないわ。」
水上「はい、その節は本当に幹部からお褒めの言葉をいただきまして・・・・」
マキ「白い粉やら、不法所持やら、ノミ屋の上がりやら、誰のおかげで総取り出来たんだろうね・・・・」
水上「いや、それは・・・・」
マキ「あそ、わかった。このいきさつ『横浜新聞』に売り込むわ。」
水上「ちょちょ!待ってお願い!」
マキ「見出しは、こうかな?(神奈川県警、不祥事発覚!所轄捜査員が不当な情報で手柄取り!?)ってな感じかな?」
涼夏「まずいな、県警の、上のあれが、怒るなあ、これ。」
水上は背筋を伸ばし、大きく咳払いをした。
水上「え?的場町の事件において有力な情報があるだと?わかった、俺が聞こう!別室で話をしょう!」
マキと涼夏は大きく頷いた。
マキ「すみません、宜しくお願いします。」
水上「くそ・・・早く来い。」
水上は二人を署内の奥の方へ案内した。
二人が歩いている途中、不意に涼夏は事務作業をしている警察官と目が合ってしまった。
警察官は涼夏を見た瞬間、何かを思い出すように視線を外した。
・・・・まずい
涼夏は即座に顔を伏せ、警察官から隠れるように奥へと歩いて行った。
警察官は、涼夏を目で追ったが、すぐに着席し、業務に戻った。
警察官の机の上には『少年課』の看板が掲げられていた。
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