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「次は集中力や『出来る』という信念を、無意識に持続させることがポイントになってくる。
そのために便利なのが『呪文』だな」
「そういえば、テンさんも『天地神明……』とかなんとか言ってたような……」
「呪文には、大きく分けて二つの効果がある。
一つは神や精霊に対する敬虔さや、感謝の気持ちを表す事が出来ること。
もう一つは、邪念の入る余地がなくなることだ。
つまり祈りの集中力を高めるということだな」
オウコが頷きながら言う。
「それから、神様にお願いするときの定型文みたいなものかな。
ほら、『そこの黄色くてややカーブしたフルーツとって』って言うよりは、『そのバナナとって』っていう方が簡単に通じるでしょ」
ギンコが人差し指を立てて、にっこりと微笑む。
「ちなみに、オウコが言ってたのは、『あびらうんけん』。
阿・毘・羅・吽・欠が、地・水・火・風・空で、宇宙の万物全てを表して、それに助けを求めてるの。
それに、『成就』って意味の『そわか』で、叶えて下さってありがとう、っていう感謝を込める事で、呪文を完成させてるんだ。
で、老師が気爻波の時に言ってたやつは、『天地神明 陰陽和合 万物回帰 易為化生……』。
『てんちしんめい、おんみょうわごう、ばんぶつかいき、いいけしょう』。
天と地の全ての神々よ、陰と陽は和合し、万物は全てに還る。たやすく生まれ出でよ……。
みたいな意味だね。最後に八卦の特性を命ずる。
さっきのはボクらに例として見せてくれてたからあれだけど、老師なら呪文なしの無言でも、大技をバンバン打ち出せると思うよ」
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