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「これはね、ボクら用のサプリメントみたいなもの。
糖分とか、ビタミンCとか、ネコたちは摂らなくて良いけど、ボクらには必要な成分がまとめられてる感じかな。
ビタミンCなんてさ、哺乳類で体の中で自然に作られないの、ボクらマレビトや猿とかの霊長類くらいのものなんだって。
退化してるか進化してるのか分かんないよね、人間って」
ギンコが苦笑しながら答える。
「フートの実もそうだけど、食事で普通に摂れる時は良いとして、狩りの途中で道に迷ったり、怪我して動けなくなったりして、自分では獲物が捕れない、もしもの時に備えての緊急食料としてね。
薬なんかも入ってるから」
「こっちは『清濾過丸』……。なんか聞いたことある響きのような……。
これってひょっとして、お腹痛い時の薬?」
スズは黒に近い茶色の薬丸の入った小瓶を示して、隣で暇そうにしているフーカに話を振ってみた。
子どもの頃からこちらの世界で暮らし、すでに岩イノシシ狩りの経験のある彼女は講習の必要はないが、むしろ子ネコたちの講師としてや、スズのお目付け役として傍にいることも多い。
「なっ……何であたしに聞くのよ!」
フーカは絶句したあと、真っ赤になってそっぽを向いてしまった。
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