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ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。
息を弾ませて、軽やかに走る。
タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ。
靴音がテンポのよいリズムを刻む。
ハッハッハッハッ。
髪の毛が項を優しく叩く。顔を撫でていく風が心地よい。
秋晴れの朝。
一年で一番好きな季節だ。
これが遅刻しそうな登校シーンでなければ、もっと良かったろうに。
星占いでは、”今週の運勢は最高!!”ってなってたのに。
幸運の女神は、私の頭上をスルーしたらしい。
スマホがクッションの下になって、朝のアラームが聞こえなかったし、
昨日夜更かししたのか、両親とも朝寝坊したし、
まぁ、自力で起きれなかったのが、一番いけないんだけど。
タッ、タッ、タッ、タッ。
学校まで、あと信号二つ。頑張れ私、間に合うかもしれない…。
と、その時。
道路わきに止まったタクシーが目に入った。
車の側に、苦虫を噛んだ顔の運転手と、困り顔で幾度も頭を下げるお婆さんがいる。
その側を駆け抜け、10メートルほど進んだところで、私はその場走りになる。
どうしよう。遅刻しそうなんだけど…。
でも、困ってる人を見ると何かせずには居られないんだ、わたし。
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