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「起きな、咲菜」
布団の上から揺れが伝わってくる。
「いややぁー、むりー...」
「もう8時なんやから!いい加減にせえよ!」
「8時ー?」
だってさっき起きたときは6時半だったはず...
そんな訳は...
頭の横の目覚まし時計はしっかりと「8」と「12」を指していた。
「うわおぅ!!」
「だから言ったったのに...」
「遅れる遅れる!」
机に置かれた目玉焼きを呑み込み、水で黄身の味を流し込み、そのまま洗面所へ向かってついていた目やにをとって顔を洗い、歯磨きを20秒で済ませて寝癖を整える。
ここまで約2分。
「あんた、普通顔洗てからご飯やろ...」
服を着替え、帽子をかぶって、
「いってくるわ!」
と半ば叫び気味に家を飛び出す。
まずいまずい遅れる遅れる。
「きいつけんなー!」
母が大声で言う。
とりあえず、遅刻を免れるために頑張って走った。
「ほんまに女子なんか?あの子は...」
と母がため息交じりに言ったのを私は知らない。
「あ、あの子弁当忘れていったわ。はぁ...」
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