1. わ た し

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急いで走っていき、電車の通る踏切まで来る。 念のため安全確認をして、足早に駆け抜けて行く。 ここは神谷。霊山高野山のお膝元、かつて高野山へ向かった人たちが最後に宿をとった場所だとおじいちゃんが話してくれた。 基本的に集落と南海電車の駅しか無いが、私はここが好きだ。 私は中川(なかがわ) 咲菜(さな)、神谷に住む、小学6年生になりたての自称可愛いオンナノコだ。 最近はカソカとかいうものが進んでいるらしく、全校生徒も減ってきていると先生が話していた。 踏切を越えると南海電車の紀伊神谷駅の入り口がある。 紀伊神谷駅はカーブの途中にある駅で、電車が通る時はコーナイフミキリのカンカンカンという音と、キイィィィィィという車輪とレールの摩擦の音が鳴るので、たまに耳が痛くなる。 駅員さんは一人だけで、駅には切符券売機が無く、自動販売機すら無い。ーーー要するに田舎だ。 キツ目の坂がたくさんあるけど、何年も往復していると慣れたものだ。足腰も鍛えられてきた気がする。 坂を登りきると、車が通る道に出る。 ーーー何とか遅刻せずに済んだ... 私の通う小学校、白藤小学校に到着だ。
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