微笑みを忘れないで

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新緑の季節、窓から見える青空と病院の周りを囲むビワの木が爽やかなコントラストを生んでいる。 緑色にはセラピー効果があると聞いたことがある。 「(春風さんは物知りだから知っているんだろうな。)」 車椅子に乗って飄々としている春風さんはとても患者には見えなかった。 「春風さん。結婚するんだって?」 指には婚約指輪らしきものが存在している。 春風さんはコクリと頷いて手をパーにして見せつけてきた。 なんて幸せそうな重みだろう。 「私、変わりん坊だから自分を貰ってくれる人がこの世にいるなんて思いもしなかったの。もう中学の時からずっと呪いの様に信じ込んでたくらいにね!」 まさかの一言目が自虐。 僕も春風さんのことは常人ではないと踏んではいたけどここまで自覚しているなんて驚きだ。 「世界は広いから余裕だよ。そんなに信じ込んでたから体に来ちゃったんじゃないかな。」 「あ! それって今流行りのブルータスちえみでしょ!? 27億!!」 「35億っす。」 ほら、俺なりに体の心配をしてるのにここに芸人ネタをぶっこんでくるあたり常人じゃない。さすが春風さん。 そっかー35億かー。って何かぶつぶつ言っている。
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